みなさんはインジケーターを活用して取引をしていますか?初心者の方の中には、「インジケーターってよく聞くけど結局何のこと?」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、インジケーターとはどういったものなのかというお話から、楽天FXで使えるインジケーターの種類やその活用の仕方についてなどを詳しく解説していきます。
インジケーターとは
インジケーターとは、為替レートのデータを様々な計算方法で分析し、取引のタイミングの判断を助ける為のサポートツールのことです。テクニカル指標とも呼ばれています。
チャートを見ているだけで相場の動き方を把握し予測していくことは非常に難しいですが、インジケーターを活用することで視覚的にチャートの認識がしやすくなります。
インジケーターは実に多くの種類がありますが、その特徴は大きく2つに分けられます。それぞれどういったもなのか、1つずつ確認していきましょう。
トレンド系インジケーター
1つ目がトレンド系インジケーターというものです。これは、「相場が上昇するのか、下降するのか」のトレンド(傾向)を教えてくれるものです。
全体的な相場の動き方が視覚的に掴みやすくなるため、流れに乗って取引を行いたい場合にはぜひ活用するべき指標です。
オシレーター系インジケーター
2つ目はオシレーター系インジケーターというものです。こちらは「現在の相場が"買われすぎ"なのか、"売られすぎ"なのか」という相場の強弱を表すものとなっています。
現在の相場が買われすぎ、あるいは売られすぎている状況であれば、そのトレンドはそろそろ終了して反対に動いていく可能性が高いということになります。そのため、オシレーター系インジケーターは逆張りに向いているものが多いといえるでしょう。
楽天FXで使えるインジケーターは?
それでは、楽天FXで使えるインジケーターはどういったものがあるのでしょうか。楽天FXの取引ツールである「マーケットスピードFX」と「iSPEED FX」では、それぞれ搭載されているものが異なっているため以下の表にまとめてみました。
マーケットスピードFX | iSPEED FX | ||
トレンド系インジケーター | 移動平均線 | 〇 | 〇 |
指数平滑移動平均線 | 〇 | 〇 | |
加重移動平均線 | 〇 | × | |
多重移動平均線 | 〇 | × | |
ボリンジャーバンド | 〇 | 〇 | |
一目均衡表 | 〇 | 〇 | |
一目均衡表(時間論) | 〇 | × | |
ピークボトム | 〇 | 〇 | |
HLバンド | 〇 | × | |
パラボリック | 〇 | 〇 | |
エンベロープ | 〇 | × | |
回帰トレンド | 〇 | × | |
フィボナッチ(戻り・ザラ場) | 〇 | × | |
フィボナッチ(戻り・終値) | 〇 | × | |
フィボナッチ(新値・ザラ場) | 〇 | × | |
フィボナッチ(基調転換) | 〇 | × | |
Variable Volatility Stops | 〇 | × | |
ピボット | 〇 | × | |
時系列新値足 | 〇 | × | |
陰陽足 | 〇 | × | |
比較チャート | 〇 | × | |
オシレーター系インジケーター | MACD | 〇 | 〇 |
RSI | 〇 | 〇 | |
ストキャスティクス | 〇 | 〇 | |
スローストキャスティクス | 〇 | 〇 | |
RCI | 〇 | 〇 | |
DMI | 〇 | 〇 | |
標準偏差 | 〇 | × | |
標本標準偏差 | 〇 | × | |
移動平均乖離率 | 〇 | × | |
ATR | 〇 | × | |
CCI | 〇 | × | |
ウィリアムズ%R | 〇 | × | |
強弱レシオ | 〇 | × | |
モメンタム | 〇 | × | |
ROC | 〇 | × | |
ボラティリティレシオ | 〇 | × | |
サイコロジカルライン | 〇 | × | |
Aroon-indicator | 〇 | × | |
Aroon-Oscillator | 〇 | × | |
DPO | 〇 | × | |
UOS | 〇 | × | |
騰落価格 | 〇 | × | |
騰落率 | 〇 | × |
マーケットスピードFXで使えるインジケーターは、トレンド系が21種類、オシレーター系が23種類の合計44種類で、iSPEED FXで使えるインジケーターは、それぞれ6種類ずつの合計12種類となっています。
マーケットスピードFXでのインジケーターの設定方法
チャート画面上部の「テクニカル選択」のタブにカーソルを合わせるとこのようなタブが表示されます。トレンド系にカーソルを合わせると、トレンド系インジケーターの一覧が表示されるので、そこから希望のインジケーターを選択します。オシレーター系も同様の手順で選択が可能です。
「チャート形状」は、チャートの表示の仕方をロウソク足、折れ線、平均足、ドット、バーの5つから選択できるものです。
「マイチャート」は、よく利用するテクニカル分析やそのパラメータを保存できる機能です。予め設定されたテクニカル分析もプリインストールされており、国内株式の取引ツールであるマーケットスピードで使用しているチャートを模したデザインの「Market Speed」、最もポピュラーなインジケーターである移動平均線を表示する「移動平均」、平均足とHLバンドの2種類のインジケーターを表示する「平均足+HL」の3種類があります。
iSPEED FXでのインジケーターの設定方法
iSPEED FXでのインジケーターの設定の仕方は、まずチャート画面を表示し画面左上の歯車マークをタップします。すると画面下部に画像のようなタブが表示されます。マーケットスピードFXと同様に、チャート種からチャートの形状の変更も可能です。インジケーターは、トレンド系とオシレーター系からそれぞれ2種類まで選択することができます。
トレンド系インジケーター
ここからは、楽天FXで使用できるインジケーター44種類すべてをご紹介していきます。まずはトレンド系インジケーターから見ていきましょう。
移動平均線
これは単純移動平均線ともいい、一定期間の終値の平均値を折れ線グラフにして表したものです。インジケーターの中で特にポピュラーなものの一つなので、初心者の方はまず移動平均線から覚えていきましょう。
移動平均線は相場のトレンドや勢いを見る際に役立ちます。基本的には価格が移動平均線を上回っていれば「上昇トレンド」、反対に価格が移動平均線を下回っていれば「下降トレンド」というように判断することができます。
一般的には短期と長期の2本、あるいは短期と中期と長期の3本を組み合わせて利用します。楽天FXでは短期と中期と長期の3本が表示されており、日足であれば日数はそれぞれ5日、25日、75日がデフォルトで設定されています。もちろんこの日数の設定も変更可能です。
短期移動平均線が中期や長期の移動平均線を下から上に突き抜けるように交差することを「ゴールデンクロス」と言い、トレンドが上昇に転じたことを表します。反対に短期移動平均線が中期や長期の移動平均線を上から下に突き抜けるように交差することを「デッドクロス」と言い、トレンドが下降に転じたことを表します。
しかし、どちらも交差の角度がゆるやかな場合は弱いシグナルである可能性が高いため、冷静に見極めることが重要です。
指数平滑移動平均線
こちらは、移動平均線の中でも直近の価格に比重を置いたもので、単純移動平均線に比べて直近の相場の動きに敏感に反応します。そのためトレンドの転換により早く気付くことが出来ますが、その分ダマシも多くなってくるため注意しなければなりません。
基本的なグラフの見方は単純移動平均線と同じとなっています。
加重移動平均線
こちらは、指数平滑移動平均線と同様に直近の価格に比重を置いた移動平均線となっています。指数平滑移動平均線との違いは直近の価格に対する比重にあり、加重移動平均線は指数平滑移動平均線に比べて比重が小さくなっています。
こちらも、基本的なグラフの見方は単純移動平均線と同様です。
多重移動平均線
多重移動平均線は設定期間の異なる移動平均線を複数表示するもので、楽天FXでは常時14本を表示しています。
短期の移動平均線と長期の移動平均線では相場の動きに反応する速度が異なるため、このテクニカル指標を使うことでそれぞれの間の細かい反応の動きを見ることが可能です。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差で構成されており、統計学を応用したテクニカル指標です。移動平均線と同様に、非常にポピュラーなインジケーターの一つです。
一定期間のデータの標準偏差(シグマ=σ)を算出し、それをあらかじめ設定したある期間の移動平均線の上下にバンドとして描いて表示します。統計学ではデータが正規分布している場合において、「平均値±1σ」内にデータが入る確率は約68%、「平均値±2σ」内にデータが入る確率は約95%と言われています。
つまり、基本的にはバンドから逸脱するレートは「買われすぎ・売られすぎ」と考えられるので、それを参考にして売買のタイミングを判断するという使い方です。
一目均衡表
こちらもポピュラーなインジケーターの一つで、「いつ、目標値が達成されるのか」や「いつ、相場が変化するのか」というように、時間の概念を重視したテクニカル指標です。
表示されている5本の線についても見ていきましょう。
本日を含む過去26日間の最高値と最安値の平均値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示すものです。
本日を含む過去9日間の最高値と最安値の平均値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示すものです。
基準線と転換線の平均値を26日先行して記入したもので、短中期的な相場の方向性を示します。
過去52日間の最高値と最安値の平均値を26日先行して記入したもので、長期的な相場の方向性を示します。 先行スパンはこの2本の線で、現在の値動きが未来にどういった影響を及ぼすのかを表すものです。2本の線の間を塗りつぶした空間のことを「雲」と言い、価格の抵抗帯のことを表しています。
当日の終値を26日前に記入したもので、過去と現在の動向を比較する為の線です。 |
基準線は移動平均線と同じような使い方となっており、基準線が上向きの場合は上昇トレンド、下向きの場合は下降トレンドと判断することができます。
買いシグナルで例えると使い方としては、「転換線が基準線を下から上に突き抜けた時」、「遅行スパンが雲を上に抜けた時」、「ローソク足が雲を上に抜けた時」はそれぞれ買いシグナルとなります。
この3つが揃った場合は「三役好転」と言い、非常に強い買いシグナルと言えます。また、それぞれが反対になっている場合は売りシグナルであり、3つが揃った場合には「三役逆転」と言う非常に強い売りシグナルとなります。
一目均衡表(時間論)
時間論は、基本数値という考え方を基に相場の変動を予測していくものです。基本数値の中でも「9、17、26」の3つを単純基本数値と言い、この3つが重要とされていて、基本数値に該当する日は相場の変化が起こりやすいという風に考えられています。
基本数値は「33、42、52、65、75」というように続いていき、これらは複合数値と呼ばれています。
ピークボトム
指定期間内での高値を「ピーク」、安値を「ボトム」として、チャート上にピークとボトムの日付とレートを表示するのがこのピークボトムです。
レートは上下に変動を繰り返していきますが、その中で変動の幅や高さに一定の周期性が見られる場合があり、その周期性を見つけて売買の判断に利用していくというものになります。
HLバンド
HLバンドの「H」と「L」はそれぞれ「ハイ」と「ロー」のことで、「ハイローバンド」とも呼ばれており、その名の通り直近n日間の高値(Hバンド)と安値(Lバンド)の2本のラインを引いたものです。
基本的にはローソク足がHバンドを下から上に突き抜けると買いシグナル、ローソク足がLバンドを上から下に突き抜けると売りシグナルというように判断します。
パラボリック
パラボリックとは「放物線」という意味で、SAR(Stop And Reverse)という指標をつなげて放物線状に描いたテクニカル指標です。
価格の値動きは次第にその勢いを弱くしていき、やがて転換点を迎えます。パラボリックはこのトレンドの転換点を見る際に有効なテクニカル指標です。
エンベロープ
エンベロープは、移動平均線の上下に一定の割合の乖離率でラインを表示させるテクニカル指標です。一見、ボリンジャーバンドとよく似ているようにも見えますが、ボリンジャーバンドは標準偏差を算出して描画するため値動きによってはバンドの幅が広くなったり狭くなったりします。それに対し、エンベロープは一定の割合の乖離率で描画するため常に同じ幅のバンドを描き続けるのが特徴です。
基本的には、価格が上(下)のバンドに接近・到達したら、反転下落(反転上昇)の可能性が高いため買われすぎ(売られすぎ)と判断し、売り(買い)注文を行うというような使い方です。しかし、エンベロープの上(下)側のラインにローソク足が張り付いた状態で上昇(下降)が続くなどの強いトレンドがある場合はその限りではなく、相場の転換が起こらない場合もあるため注意しましょう。
回帰トレンド
回帰トレンドとは、任意の期間の値動きの中心を通る回帰直線を引き、その上下に標準誤差を加減したラインを2本ずつ引いて計5本のラインで分析を行いチャートのトレンドを見る指標です。
相場の変動が小さい時はラインの角度が緩やかになっており、トレンドが強いほどラインの角度が急になっていきます。また、相場の変動が少ない場合はラインの幅が狭く、相場の変動が激しい場合にはラインの幅も広くなります。
フィボナッチ(戻り・ザラ場)
フィボナッチとは、「フィボナッチリトレースメント」とも言い、フィボナッチ数列を応用したものです。相場における押し目や一時的な戻りの目標価格を判断するために使われています。楽天FXで使えるフィボナッチには「戻り・ザラ場」「戻り・終値」「新値・ザラ場」「基調転換」の4種類があります。押し(戻し)の幅は1/3、 0.382、1/2、0.618、2/3、0.764で描画されます。
「フィボナッチ(戻り・ザラ場)」は、始値、高値、安値、終値の4本値で高値と安値を判断して描画したものです。期間中の高値と安値の幅を1として高値のラインを1とした時、前述の数値の分だけ高値から下側に離れたところに線が引かれています。このラインを目安として戻り値の予想を判断していきます。
フィボナッチ(戻り・終値)
「フィボナッチ(戻り・終値)」は、先ほどのものに終値を適用したもので、期間中の終値の高値と安値の幅を1として先ほどのものと同様に描画したものです。こちらも戻り値の予想の判断の目安として使います。
フィボナッチ(新値・ザラ場)
こちらは初めのフィボナッチに新値を適用したもので、このラインを目安として新値の予想を判断していきます。前述の描画の幅(1/3、 0.382、1/2、0.618、2/3、0.764)に加えて、1.382、1.618にも描画しています。
フィボナッチ(基調転換)
こちらは初めのフィボナッチを時間軸に対して応用したものです。期間中の高値と安値で最初に出現したポイントをスタート地点として、その地点からフィボナッチ級数で経過したところに線を描画しています。このラインを目安として日柄の予想の判断をします。
Variable Volatility Stops
「Variable Volatility Stops」は略して「VVS」とも呼ばれ、終値と実質変動幅から相場のトレンドを見極めるのに使われるテクニカル指標です。チャート上に表示されている点の色が水色から赤色に変わったら「買い」、反対に赤色から水色に変わったら「売り」 というような使い方になっています。
ピボット
ピボットは当日の終値、高値、安値の3つの数値を利用して支持線と抵抗線を算出します。LBOP、B2、B1が支持線、HBOP、S2、S1が抵抗線となっており、この6本のラインから翌日の相場変動を予測していくという使い方です。支持線と抵抗線の範囲内で翌日の相場変動の予測をするため、デイトレードなどの短期売買に向いていると言われています。
時系列新値足
まず新値足とは、縦軸に価格をとり横軸に時間の概念が入らない不規則時系列系チャートのことです。それに対して、横軸に時間の概念を取り入れたものがこの時系列系新値足と言います。そのため、価格変動がない期間でも足をスライドさせて描画していきます。
陰線から陽線に変わった時(陽転)には「買い」、陽線から陰線に変わった時(陰転)には「売り」、陽転してからの2本目の陽線は「買い」、陰転してから2本目の陰線は「売り」というような見方をして使っていくものです。
陰陽足
これは移動平均線をチャート化したもので、足の陽転や陰転により相場の勢いやトレンドを判断するのに使います。足は始値と終値でのみで表示されるためヒゲはありません。
一般的に、陰陽足が陽転した時には上昇トレンドが、陰転した時には下降トレンドが始まったというふうに判断します。さらに、短期、中期、長期の3つの陰陽足がそろって陽転した場合には「買い」、反対に3つの陰陽足がそろって陰転した場合には「売り」と判断されます。
比較チャート
これは、基準日を100%として価格の推移を指数化して表したものです。そのため、価格帯が大きく異なる通貨ペアの場合でも価格の連動性やパフォーマンス、送還・逆相関を見ることや、相関性を見つけて鞘取りに利用することも可能となっています。
オシレーター系インジケーター
ここからは楽天FXで使えるオシレーター系インジケーターを見ていきましょう。
MACD
MACD(マックディー)とは「Moving Average Convergence Divergence」の略で、移動平均線を応用したテクニカル指標です。オシレーター系インジケーターの中でも最もポピュラーなもので、2本の指数平滑移動平均線を使い、その方向や乖離などから売買のタイミングを計るものです。
一般的には12日と26日の指数平滑移動平均線を使って描画し、その2本のラインの差をMACDと呼びます。そして、MACDの9日以降の平均をシグナルと呼び、MACDとシグナルの2本のラインの水準とクロスの仕方から売買のタイミングを判断していきます。
通常はMACDがシグナルを下から上に突き抜けた時に「買い」、MACDがシグナルを上から下に突き抜けた時に「売り」とし、MACDがゼロラインを上回れば本格上昇、反対にMACDがゼロラインを下回ると本格下降というように見ていきます。また、MACDがシグナルを下から上に突き抜けた後に2本のラインがゼロラインを上回った状態は「理想的な買いシグナル」、反対にMACDがシグナルを上から下に突き抜けた後に2本のラインがゼロラインを下回った状態は「理想的な売りシグナル」となります。
RSI
RSIは「Relative Strength Index」の略で相対力指数とも呼ばれています。こちらも非常にポピュラーなテクニカル指標のうちに一つで、一定期間の値動きにおける値上がり幅の割合を算出して価格の上昇の強さを数値化したものです。
基本的には50%を中心として、70~80%以上を「買われすぎ」、30~20%以下を「売られすぎ」というように判断します。また、上昇トレンドの時に価格が新高値をつけているにも関わらずRSIがチャートに追従せずに下降し始めた場合や、下降トレンド尾の時に価格が新安値をつけているにも関わらずRSIがチャートに追従せずに上昇し始めた場合はトレンドの転換が起きていると判断します。
ストキャスティクス
こちらも非常に人気のあるテクニカル指標の一つで、「%K」と「%D」という2本のラインを用いて相場の相対的な強弱の勢いを判断します。
前項のRSIと見方が似ており、50%を中心として70~80%以上を「買われすぎ」、30~20%以下を「売られすぎ」と判断し、%Kが%Dを下から上に突き抜けたら「買い」、%Kが%Dを上から下に突き抜けたら「売り」というように見ていきます。また上昇トレンドの時に価格が新高値をつけているにも関わらずストキャスティクスがチャートに追従せずに下降し始めた場合や、下降トレンドの時に価格が新安値をつけているにも関わらずストキャスティクスがチャートに追従せずに上昇し始めた場合にはトレンドの転換が起きる可能性があり、これをダイバージェンスと言います。
次項で解説するスローストキャスティクスに対してファーストストキャスティクスとも呼ばれています。
スローストキャスティクス
前項のストキャスティクスは相場の動きに敏感に反応するため、短期売買に向いておりダマシも多いのですが、それを補う役割をするのがこのスローストキャスティクスです。楽天FXのスローストキャスティクスでは%Kと%SDの2本のラインを用いて描画しており、基本的なチャートの見方はストキャスティクスと同様です。%Dが%SDを下から上に突き抜けたら「買い」、%Dが%SDを上から下に突き抜けたら「売り」と判断し、それぞれ30%以下、70%以上で交差しているとより信頼度が高まります。
RCI
RCIは「Rank Correlation Index」の略で順位相関係数とも呼ばれているものです。時間の推移と価格の水準のそれぞれに順位をつけ、その相関関係から「買われすぎ・売られすぎ」を判断します。RCIの値は‐100から+100の間で推移し、期間中継続して価格が上昇していくとRCIは+100に近付いていき、期間中継続して価格が下落していくとRCIは‐100に近付いていきます。
0を中心として、+80以上になると買われすぎと判断し「売り」、‐80以下を売られすぎと判断し「買い」というように使います。RCIの2本のラインの交差から見る場合には、‐100付近で短期線(5日)が中期線(10日)を下から上に突き抜けたら「買い」、+100付近で短期線(5日)が中期線(10日)を上から下に突き抜けたら「売り」と判断します。また、RCIが底を打って上を向いたら「買い」、天井を打って下を向いたら「売り」という見方もあります。
DMI
DMIは「Direction Movement Index」の略で、これは方向性指数という意味です。DMIは一般的に、+DI(Plus Directional Indicator)という上昇力を示すもの、‐DI(Minus Directional Indicator)という下降力を示すもの、ADX(Average Directional Movement Index)というトレンドの強さを示す指数という3つの指数から構成されています。
+DIが‐DIを下から上に突き抜けたら「買い」、+DIが‐DIを上から下に突き抜けたら「売り」というように判断できますが、これではダマシが多くなる可能性もあります。そのため、+DIが‐DIを下から上に突き抜け、ADXが‐DIを下から上に突き抜けたら「買い」、‐DIが+DIを下から上に突き抜け、ADXが+DIを下から上に突き抜けたら「売り」というようにADXを組み合わせて判断する場合もあります。
標準偏差
標準偏差とは、対象となるデータのバラつきの大きさを示す指標で、標準偏差が大きいほどデータのバラつきが大きいことを表します。つまり、標準偏差が大きいと価格の変動も激しく、標準偏差が小さいと価格の変動は安定しているということです。
標準偏差はオシレーター系インジケーターの一つですが、これだけで売買のタイミングを判断するものではないため、ほかのテクニカル指標と合わせて活用するものとなります。
標本標準偏差
標本標準偏差とは、前項の標準偏差が「統計対象のすべての集合(母集団)」から算出されたものであるのに対し、「母集団から部分抽出した集合」により算出されたものです。
標本標準偏差は、その部分抽出した集合から算出した数値をもとに標準偏差の推定を行うといった考え方になります。期間も標準偏差で設定している期間以下の日数で算出するため、ラインの動き方も標準偏差に比べて細かく表示されます。
移動平均乖離率
これは現在価格が移動平均線とどれくらい乖離しているかをグラフ化したもので、現在価格と移動平均線との大幅な乖離はやがて修正されるという法則に基づいて「買われすぎ・売られすぎ」を判断します。
一般的には、短期線(5日)であれば10%、中期線(25日)であれば15~20%以上離れると移動平均線に近付こうとしていきます。そのため現在価格が移動平均線から上方に大きく乖離したら「売り」、反対に現在価格が移動平均線から下方に大きく乖離したら「買い」というような使い方です。
ATR
ATRとは「Average True Range」の略で、相場のボラティリティ(変動率)を示すものです。売買のタイミングを判断するというよりも相場の変動が大きい傾向なのか小さい傾向なのかを判断するために用いる使い方が有効とされています。
「当日高値ー当日安値」、「当日高値ー前日終値」、「当日安値ー前日終値」の3つのうち最大の値幅を当日の「真の値幅(トゥルーレンジ)」とし、この「真の値幅」の移動平均線がATRとなります。前述の通り、ATRだけでは売買の判断をすることはできませんが、ATRが大きいと短期的な値幅取りにより値動きが激しくなったり、反対に縮小傾向が長く続くとATRが大きく振れて相場が上下どちらかに大きく動く可能性があると予測できます。
CCI
CCIは「Commodity Channel Index」の略で商品チャンネル指数という意味を持ちます。値動きの振り幅に対し、現在価格の乖離がどの程度のものかをグラフ化したものです。
オシレーター系インジケーターの多くは数値の上限が100%となっていますが、CCIは上限がないため100%以上になることも少なくありません。下限も設定されていないため‐100%以下になることもあります。一般的には100%を超えると「売り」、‐100%を下回ると「買い」というように判断します。
ウィリアムズ%R
こちらはストキャスティクスの%Kと似ている指標で、一定期間の最高値と最安値からなるレンジの中で、当日の価格が相対的にどの位置にあるのかを示したものです。このウィリアムズ%Rの数値は0%~‐100%の間で推移します。
数値が0%付近で推移している場合には「買われすぎ」とし、数値が‐100%付近で推移している場合には「売られすぎ」とします。また、数値が‐20%以上の場合は「売り」、‐80%以下の場合は「買い」と判断します。
この指標は短期売買を目的としており、相場の動きに敏感に反応するように考案されているためにダマシも多く発生するので注意しながら慎重に判断しましょう。
強弱レシオ
強弱レシオとは、強弱エネルギー(Aレシオ)と強弱人気(Bレシオ)の2本のラインから構成されており、その変化の累積により相場の先を読む指標です。
Aレシオは、まず当日の始値を基準として「強」「弱」それぞれのエネルギーを算出します。「当日の高値-当日の始値=強エネルギー」、「当日の始値ー当日の安値=弱エネルギー」としてそれぞれのエネルギーを設定した期間分合計し、「強エネルギー」を「弱エネルギー」で割ったものがAレシオです。
Bレシオは、「前日の終値」を基準として「強」「弱」それぞれの人気(過熱感)を算出します。「当日の高値ー前日の終値=強人気」、「前日の終値ー当日の安値=弱人気」とし、それぞれの人気を設定した期間分合計し、「強人気」を「弱人気」で割ったものがBレシオです。
Aレシオは40~70%辺りが底値圏となり下降トレンドから反転することが多いため「買い」と判断します。Bレシオは人気を測る指標であるため、300%以上を高値圏とすることが一般的です。どちらの指標も、強弱が均衡している場合には100%近辺で推移します。両レシオが高い位置から急落して70%を下回った場合や、低い位置でBレシオがAレシオを下から上に突き抜けた場合は「買い」と判断します。
モメンタム
モメンタムは英語で「勢い」という意味で、その名の通り相場の勢いや方向性を測る指標です。相場が上昇するスピードが一定の時にはラインは横ばいに、上昇していてもスピードが下落している場合にはラインは下降します。ゼロラインとクロスしたところがトレンド反転となっており、先行指標としても利用できます。
レートが上昇し、モメンタムもゼロライン以上で上昇している場合を「上昇トレンド」、レートが下降し、モメンタムもゼロライン以下で下降している場合は「下降トレンド」と判断します。そして、上昇トレンドの時にモメンタムがゼロラインを下から上に突き抜けた場合は「買い」、下降トレンドの時にモメンタムがゼロラインを上から下に突き抜けた場合は「売り」と判断します。
ROC
ROCとは「Rate Of Change」の略で、一定時間の価格の変化率を表したものです。
強弱の基準線を100として、基準線より上で上昇中の場合は「買い」、基準線より下で下降中の場合は「売り」と判断します。また、上昇トレンドの時に基準線を下から上に突き抜けたら「買い」、下降トレンドの時に基準線を上から下に突き抜けたら「売り」というようにも判断できます。
ボラティリティレシオ
ボラティリティレシオは、ATRでも出てきた「真の値幅」を用いて相場の転換点を測るものです。ATRでも解説した通り、「当日の高値ー当日の安値」「当日の高値ー前日の終値」「当日の安値ー前日の終値」の中で最大の値幅のものを「真の値幅」として、その「真の値幅」を「真の値幅のn日間の指数平滑移動平均線」で割ったものがボラティリティレシオとなります。
ボラティリティレシオが2よりも大きい場合や、2付近まで上昇した後に下落した場合には、上昇トレンドが反転する可能性が高いということが予測できます。
サイコロジカルライン
「サイコロジカル」とは「心理的な」という意味で、投資家心理を数値化して分析したものがこのサイコロジカルラインです。過去n日間のうちに価格が上昇した日数が占める割合を示しており、その水準によって買われすぎ・売られすぎを判断します。
期間は12日に設定するのが一般的で、楽天FXでも12日で設定されています。期間を12日とした場合には、そのうちの9日以上価格が上昇(下降)することはほとんどないという確率論の判断に基づいて判断をしていきます。12日のうち9日価格が上昇(9勝3敗)すればサイコロジカルラインは75%を示し「売り」と判断し、12日のうち9日価格が下降(3勝9敗)すればサイコロジカルラインは25%を示し「買い」と判断します。
サイコロジカルラインはダマシも多いため、細かな売買のタイミングの判断に用いるよりも大まかなトレンドの流れをつかむために利用したほうが有効であり、ほかの指標を補完する形で利用するとよいでしょう。
Aroon-Indicator
「Aroon(アルーン)」とはサンスクリット語で「夜明けの光」という意味で、新しいトレンドの始まり(夜明け)を見極めるための指標です。アルーンアップとアルーンダウンの2本のラインから構成されています。アルーンアップとは期間中の高値を更新した日足の数が期間日数に対して何%を占めているかを示すもので、アルーンダウンとは期間中の安値を更新した日足の数が期間日数に対して何%を占めているかを示すものです。
アルーンアップは100%に近付くほど上昇トレンドが強くなっているということを示しており、アルーンダウンは100%に近付くほど下降トレンドが強くなっているということを示しています。また、売買のタイミングでは、アルーンアップがアルーンダウンを下から上に突き抜けたら「買い」、アルーンダウンがアルーンアップを下から上に突き抜けたら「売り」というように判断できます。
Aroon-Oscillator
Aroon-oscillatorはトレンドの強弱を判断するテクニカル指標です。Aroon-indicatorと名前が似ていますが、こちらは1本のラインが‐100~+100の間で推移していきます。
0を超えて上昇を続けている場合には「買い」、そして上に行くほど上昇トレンドが強いということを示します。反対に、0を下回って下降を続けている場合には「売り」、そして下に行くほど下降トレンドが強いということを示しています。
DPO
DPOとは「Detrended Price Oscillator」の略で、トレンドを排除したオシレーターという意味です。レートの推移から長期のトレンドによる動きを排除することによって、短期的な動きをより明確に捉えるために用いられます。
DPOが安値圏に下落した場合や、0以下から0以上に浮上してきた場合には「買い」、DPOが高値圏に上昇した場合や、0以上から0以下に下落した場合には「売り」というように判断します。
UOS
UOSとは「Ultimate Oscillator」の略で、究極のオシレーターという意味です。その名の通り、計算日数が長いと感応度が鈍くなり、反対に計算日数が短いとダマシが増えるという一般的なオシレーターの欠点をカバーするよう設計されたものになります。
レートが安値を更新中にUOSのボトムが下がらないときに、UOSのボトムの前のトップを抜けたタイミングを「買い」、レートが高値を更新中にUOSのトップが切りあがらないときに、UOSのトップの前のボトムを抜けたタイミングを「売り」と判断します。ポジションを保有している場合は以下の通りです。
買いポジションを保有している場合は、「売りシグナルが出たら買いポジションから売りポジションへ途転」「UOSが70%以上になったら利食い」「UOSが35%以下になったら損切り」と判断するのが有効とされており、売りポジションを保有している場合には「買いシグナルが出たら売りポジションから買いポジションへ途転」「UOSが30%以下になったら利食い」「UOSが65%以上になったら損切り」と判断するのが有効とされています。
騰落価格
チャート画面に表示されている期間の左端の終値を基準値とし、その後の騰落価格を示したものです。基準日の騰落価格は0として、基準日以降の騰落価格は「終値ー基準値(画面に表示されている期間の左端の終値)」で算出されます。
騰落率
チャート画面に表示されている期間の左端の終値を基準値とし、その後の騰落率を示したものです。基準日の騰落率を100%として、基準日以降の騰落率は「終値÷基準値(画面に表示されている期間の左端の終値)×100」で算出されます。
楽天FXで使えないインジケーターは?
他社の取引ツールで利用できるインジケーターの中には楽天FXの取引ツールでは利用できないものももちろんありますが、楽天FXではここまででご紹介した44種類ものインジケーターを利用することができます。
この数字はFX会社の中でも比較的多いので、有名なものや少しコアなものまで豊富に取り揃えられていると言えるでしょう。そのため、「使いたいインジケーターが楽天FXでは使えずに不満を抱える」というようなことも起こりにくいのではないかと考えますが、自分に合ったものや組み合わせを見つけるのは少し大変かもしれません。
それに、どんなに便利なインジケーターを使っていても、その使い方をきちんと理解していなければ正しく活用するのは難しいものです。まずは有名なものや、自分が気になったものなどから使ってみて、そのインジケーターの特徴や長所・短所の分析をしながら取引をしてみることがオススメです。
インジケーターを使って、より緻密な分析と取引を
楽天FXで使える44種類のインジケーターを一つずつ見ていくことで、投資家や数学者の知恵、統計学など様々な観点による計算方法で多種多様なインジケーターがあるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。前述の通り、44種類のインジケーターが使えるのは比較的多いほうであるといえるため、どれも一度は使ってみると良さそうです。それぞれの長所や短所に気付くことでより細やかな分析も可能となってくるかもしれません。
トレンドやシグナルの判別など、解説してきたインジケーターの見方については一般的な見方であり、相場の状況などによってはもちろん例外となる場面も多々あります。取引におけるすべての判断は自身の責任の上で行うものであるので、インジケーターを信じすぎないようにすることを心がけて取引をすることが重要です。楽天FXでは、トレンド系とオシレーター系でそれぞれ2種類ずつの合計4種類のインジケーターを同時に表示することが可能なので、自分の取引スタイルにあったものの中から欠点を補完しあうような組み合わせを探してみるのも上手に活用していくコツだといえるでしょう。
自分の取引スタイルや目的に合ったインジケーターを見つけて、ぜひ有効活用してみてくださいね。